最近Twitterで少子化問題について意見交換をしていて、思うところがあったので自分なりに書いてみます。
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(Kobeniの日記)
少子化問題という言葉は、日本の国として解決すべき問題を表すものです。たとえ国にとって問題だったとしても、国民がそれを望んだのなら少子化を受け入れ、それにあわせた社会に移行していくしかないでしょう。
それでは現実として日本の若い世代は積極的に子どもを持たない選択をしているのでしょうか。これは違います。
2005年9月に実施された第13回出生動向基本調査によれば、将来結婚したいと考えている未婚の男女(18歳~34歳)が考える理想の子どもの数の平均は、男性2.07、女性2.1でした。下がり続けていた数字がこの年に下げ止まったことと、初めて女性の希望数が男性を上回ったことを考えると、むしろ若い世代は子どもを育てたいと思っているといっていいでしょう。
それなのに、現実は合計特殊出生率が2を大きく割り込んでいます。その原因はいろいろあると思いますが、私の身近でひとつ気になっていることは、仕事と子育てを天秤にかけて迷っている女性たちのことです。
最近の20代、30代の女性は、職場でやりがいのある仕事を任されてとても生き生きと働いている方が多いですね。仕事をバリバリこなし、自分の時間には異業種交流会や自己啓発にお金と時間を割いている。それが充実していればいるほど、妊娠、出産に踏み切れない気持ちはよくわかります。
例えば、こんなことが気になっているのではありませんか。
・今の職場では育児休業を取った人がいない。
・育児休業を取った人は職場や職種が変えられてしまうケースがある。
・自分が育児休業をとったら自分の仕事を引き継げる人がいない。
・自分の住んでいるところの近くの保育園は定員がいっぱいで入れなさそう。
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これらは今のあなたから見るととてつもなく大きな問題で、それがわかっていながら子どもを持つなんて、そんなリスクの大きいことはしたくない、と思われるかもしれません。
しかし、よく考えてみてください。今のあなたにとって働きやすい職場環境は5年先、10年先も同じでしょうか。このまま働き続けたとしても、会社の組織が変わって異動になったり、上長が変わって自分への評価が変わったり、いろいろなことがあるでしょう。働きすぎて体を壊す可能性もあります。このまま働き続けることだって、実は先行き不透明でリスクがあることなのです。
そう考えると、子どもを持たずに働くことと、子どもを育てながら働くこととを比べた場合、本当に後者のほうが大変かどうかは疑問ではありませんか。そして、これは大事なことですが、子どもを持つと、ものの見方つまり価値観が変わるということです。子どもがいないときといるときとで自分自身が違う人間だとしたら、比較すること自体意味がないと思うのです。
どう変わるかというのはうまく説明できませんが、私の感覚では、眠っていた能力に気づく感じ、とでもいうのでしょうか。仕事で使う能力が計画を立ててその通りに物事を進めていくようなものだとすると、眠っていた能力は五感をフルに活用し目の前の出来事に臨機応変に対応する能力に近いかもしれません。また、命を守るという大義名分が自分の中で確立することで、意思決定するときの優先順位が明確になり、迷うことが少なくなりました。俗にいう、母は強し、というのはここからきているのかもしれません。
それでも、今の仕事に強くやりがいを感じているあなたは、上で列挙した気になる点がどうしてもひっかかりますよね。。。
では、こんなふうに考えてみてはいかがでしょうか。
・今の職場で育児休業を取った人がいない
→ あなたの職場では第一号でも、世の中にはたくさん経験者がいます。わからないことがあったらネットでもリアルでもみんな助けてくれるはずです。何となくイヤだなと思って躊躇しているうちに、後輩があっさりと先を越してしまうかもしれませんよ。
・育児休業を取った人は職場や職種が変えられてしまうケースがある
→ 上長と相談して希望を聞いてもらえる場合とそうでない場合がありますね。もし変えられてしまった場合、いろいろな職種を経験できると前向きに考えてはいかがですか。子どもが小さいうちは、はっきり言って大幅なスキルアップは難しいです。ただ、ブランクをあけずに働き続けた場合、30代後半や40代になっても人材としての価値は落ちません。経験は必ず実力になっているはずです。社内で希望がかなえられない場合は転職も可能です。長いスパンで自分の本当にやりたい仕事を見極めていきましょう。
・自分が育児休業をとったら自分の仕事を引き継げる人がいない
→ あなたが辞めたら会社はつぶれるでしょうか。そんなことはありません。休職が決まってから実際に休むまで半年あるのですから、それから体制を整えたって十分間に合います。上手な引継ぎができる人は高く評価されるでしょう。
・自分の住んでいるところの近くの保育園は定員がいっぱいで入れなさそう
→ 復職すると決めてさがせば必ず見つかります。逆に、預かってくれるところがあったら復職しようという気持ちでは難しいでしょう。
最後に、これから子どもを持ちたいと考えているあなたに、私はこうアドバイスします。
子どもを持つことも、働くことも、ごく当たり前のことであって、どちらかを成し遂げるためにどちらかを犠牲にするという類のものとは違います。子どもを持ったからといって、将来にわたってやりがいのある仕事と出会うチャンスが絶たれるでしょうか?そんなことはあり得ません。確かに子育てが忙しい時期は仕事のためのスキルアップの時間を十分取れないでしょう。しかし、何才からでも勉強を再開すれば必ずキャリアにプラスになります。40代、50代、60代の輝いている先輩たちから学びましょう。
子どもに個性があるように、仕事と子育てへの取り組み方も一人一人みんな違うと思います。ぜひ、あなたのやり方を見つけて充実した人生を歩んでくださいね。
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