大きな胸を小さく見せるブラを商品化した二人の男性(チーフパタンナーと開発MD)。
「小さく見せるブラ」~誰も手を出さない“1割の悩み”に商機あり
この話を聞いたとき、頭をガンとなぐられたような気がした。
ダイバーシティ・マネジメントの推進の話をすると、企業で女性が活躍することのメリットを聞かれることがある。
「世の中の半分は女性だから、女性ならではの感性を商品開発やビジネスに生かすことが必要。そのためには女性の活躍推進、ポジティブアクション、ダイバーシティ・マネジメントが。。。」
ということがよく言われていて、自分も言ってしまったことがある。
逆に、B to BのIT企業、それも大規模なシステム開発の分野では女性の感性は必ずしも生かされるとは限らない、と内心思ってしまったこともある。
しかしそれは大きな間違いだったことに、改めて気づいたのだ。
今までも、理屈ではそれがおかしいことを理解していたが、油断すると、すぐ「女性ならではの感性」という耳に心地よいフレーズを好む自分がいた。
ありがたいことに、このインパクトのある事例のおかげで、これからは二度と間違えないだろう。
二人の男性は、悩みを持っている人がいて、それを自分たちの持っている技術で少しでも軽減できるなら、という思いでブラを開発したのに違いない。
女性のニーズだから男性より女性のほうがよくわかるかもしれない、とかそんなことは夢にも考えなかったに違いない。(そもそも、ワコールに入社する時点で、そんなこと考えちゃいないだろうけど)
男性が、女性特有の体型の悩みを下着デザインの技術で解決するように、女性も今までは女性の職場とは見られていなかった重厚長大なものづくりの世界や、理系理系した分野で画期的な発明をしたっていいのだ。だいたい、世の中の仕事のほとんどは、女性とか男性とか関係ないではないか。それなのに、「女性ならではの感性を生かす」とか言っていたら、かえって女性が活躍できる分野をせばめることになる。
女性が活躍しなければならない理由は、女性ならではの感性を生かすためではない。
◯◯さんと言う一人の人間の持っているすべての可能性を、生かすためなのである。
今後は、このことを肝に銘じて仕事をしていきたい。
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