今年の読書で特筆すべきことは、Kindle版の本を読むようになったことです。
Amazonで本を買うときKindle版が出ていれば、端末を持っている人はすぐ読めていいなあと思っていました。ところが、iPhoneでも無料のKindleアプリをインストールすれば読めることを知り。。。Kindle版がある場合はそちらを買うようになりました。使いごこちは、紙の本と比べて一長一短ありますが、時間差なしに手に入るところ、何冊でも持ち歩けるところは気に入っています。Kindle端末を買うかどうかは、まだ考え中です。
それでは、2014年に読んだおすすめの本を7冊紹介します。
女性の働き方
「育休世代」のジレンマ
子育てしながら働く女性にとって、職場はまだまだ働きやすいものではありません。
そんな中でも、なんとか工夫しながら仕事を続けている人と辞めてしまう人がいる。
その差はどこからくるのだろう、と思っていました。
『育休世代のジレンマ』の著者は、15人の出産した女性に徹底インタービューした結果からそれを考察し、論文にまとめ、本にしました。読んでいて、その通り、と思うことが多かったです。以前、wlb_cafeのイベントに出てくださったということで、献本いただきました。
「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)
スコールの夜
この本は、財務省の現役キャリアのデビュー作です。メガバンクの女性幹部候補が主人公。離婚歴あり子どもなしの彼女が、エリートであるがゆえに経営内部の理不尽な抗争に遭遇します。主人公の仕事や日常生活での心の動きが、男性が書いたとは思えないほど上手に描かれていて、ちょっと驚きでした。世の中は厳しい、でもそれだけでもない。そんなことを感じさせてくれる、リアルな小説です。
人の生き方
嫌われる勇気
偶然にもこの本を作った古賀氏の「メイキング」記事で興味を持ち、Kindle版を買いました。そこには、キャリアについて悩む人たちに聞かせたい、心理学者アドラーのことばがたくさん詰め込まれていました。「普通であることの勇気」「人生に意味を与えるのは自分」「他者貢献という導きの星を見失うな」・・・ほかにもたくさんあります。それぞれの人が、それぞれのステージで自分に響くことばを見つけられるような、そんな本です。
「好き嫌い」と経営
今をときめく経営者が語る、好きなこと、嫌いなこと。仕事に好き嫌いを持ち込むのはよくないでしょうか。私は、好き嫌いのような自分の根源から出てくるような何かがないと、道を極めるのは難しいような気がしていました。それが強い人は信用できるし、ついていってもいいと思えます。この本には、柳井正氏、原田泳幸氏、新浪剛史氏、出口治明氏など14人の今をときめく経営者が登場し、好き嫌いを語ります。生で見たかったなあ、と思うぐらい、おもしろいですよ。
人と組織
なぜ人と組織は変われないのか
人が変われない理由については、今回紹介した「嫌われる勇気」の中でも触れられており、自分の気持ち次第で何とかなる場合もありますが、組織については自分だけではどうしようもない、と無力感にさいなまれることもしばしばですね。組織改革の必要性がわかっていてもできない。しかし、わかっているなら、やり方を工夫すればできるのでは?大人の知性の発達段階や、免疫マップなど、新しい概念が満載でまだ消化しきれていませんが、コンサルタントとしてぜひ取り入れていきたいです。
なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践
U理論入門
U理論について興味はあったのですが、本が分厚かったので敬遠していました。この本は本屋で偶然見つけて、入門ならなんとかなるかな、と思ったのです。事例が豊富に挿入されていて、U理論の各ステップについて理解の助けになります。上で紹介した本と同様、実際の変革プロセスに適用するにはさらに読み込み、実践を重ねる必要がありますが、有力なツールになってくれるでしょう。
人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門(PHP研究所)中土井僚
ワーク・ライフ・バランス支援の課題
ワーク・ライフ・バランス支援についてはこれまでにも多数の本が出ていますが、この本では特に「短時間勤務制度利用の円滑化」「有期契約社員の育児休業取得」「企業による仕事と介護の両立支援の課題」「管理職の意識啓発」について最近の研究成果がまとめられているのが参考になります。ワーク・ライフ・バランスということばが日本で使われるようになって7〜8年たちますが、まだまだ浸透しているとはいいがたいです。この本を参考にしながら、広く理解を求める活動を続けていきたいと思います。
ワーク・ライフ・バランス支援の課題: 人材多様化時代における企業の対応(東京大学出版会)佐藤博樹、武石恵美子
以上、少しでも皆さまの読書のお役に立てれば幸いです。