女性研究者マルチロードマップというサイトがあります。
独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)の男女共同参画室が、産総研や国立大学などで働く女性研究者25人(30代から50代)に書いてもらったもので、25人中21人が出産経験者、というところが貴重です。
それぞれが年令を横軸にした1枚の図に自分のキャリアを書き表しているのですが、図の書き方は個人に負かされているので、1枚1枚がすべて違っています。
ある人は、縦軸に「発表累計」を使っています。論文の発表数でしょうか。横軸には年令とともに、家族に起こった出来事が書かれています。「出産」、「両親を送る」など。
就職してから現在にいたるまでをいくつかの時期に分けて、色分けしたり、○○期などと名前をつけている人。
縦軸に、研究の相対達成度とストレス度、といったように二つの意味を持たせ、2本の折れ線グラフでそれぞれを表現している人。
縦軸の上半分をプラス、下半分をマイナスとして、自分の心理状態を表した人。
海外生活の経験や、家族が分かれて過ごした期間や、離婚、再婚などを、図の中にふきだしなどで書き込んでいる人もいました。
これらを見て気づくのは、1枚1枚の図の書かれ方が違うこともさることながら、どの人生も予測がつかない出来事の連続であるということです。女性の場合とかく出産するかしないかがターニングポイントととられがちですが、それと同じぐらいキャリアを左右するのは両親の介護や、家族(夫)の仕事などによる環境の変化、仕事上での異動のようでした。
それぞれの研究者が、大小さまざまなハードルや壁にぶつかりながら、それを乗り越えてさらに将来の目標を持って日々研究に励んでいる姿が、この1枚の図から想像できるところが非常に面白いです。
理系の女性だけでなく、文系の女性にもぜひ見ていただき、自分のキャリアを長い目で見るための参考にしてほしいと思いました。