放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況

厚生労働省では、毎年10月に、放課後児童クラブ(学童保育)の現況を発表しています。

厚生労働省:平成22年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(5月1日現在)

学童保育所の数が右肩上がりで増えているのは喜ばしいことですが、小学生の放課後の過ごし方は、保育園時代とは比べものにならないくらい多様化していて、子どもが安心して過ごす環境を得ることは難しいです。

そもそも、保育所と異なり、学童保育所は自治体によって事情が大きく異なります。学校の敷地や教室の一部が使える自治体があるかと思えば、それが全く許されない自治体があったり。民間のアパートやマンションの一室を使っている学童保育の場合、家賃が高いため保育料が非常に高く、それでいて子どもの数が多くてきゅうくつだったり。

保育の質もさまざまです。指導員の質によって大きく左右されます。指導員の待遇は必ずしもよくないため、よい人材を集めるのに苦労します。

一番大きいのは、子どもが放課後に自分で学校から学童保育まで移動する、と言う点です。学童保育が学校の敷地内にあれば心配は少ないのですが、そうでない場合、移動中の治安の心配があります。また、子どもが学童に慣れなかったり好きでなかったりする場合、学童に行かないで家に帰ってしまったり、どこかへ遊びに行ってしまったりすることもあります。小学生は、時に全く想像もしないような行動を取ることがあるのです。

こう書くと、小1の壁をいたずらに強調しているかのように思われるかもしれませんが、そういうわけではありません。自分の子どもにあった保育体制を熟慮の上編み出して、毎日を安心して過ごしている方がたくさんいらっしゃると思います。ただ、朝に預ければ帰りに迎えにいくまで安全な保育園とは異なるのだ、ということを肝に銘じて、住んでいる場所で取りうる選択肢を調べて自分の子どもに最適な方法を選ぶ、と言う作業をきちんと行う必要があります。そのために、地方自治体や国に必要な施策について訴えていくことが重要になってくるかもしれません。

今ちょうど保育園に子どもを預けて働きたい人が急増している、ということは、6年以内に学童保育に預けたい人が急増することになります。この統計では待機児童の数は減っているということですが、この数字だけをみていても問題の解決にはなりません。放課後に児童が安全に過ごせる手段を、親のニーズに合わせて選択できるかどうかが大切です。

新しい動向として、JR東日本が八王子駅南口に新設した駅ビルに保育園と学童保育が併設し、12月1日にオープンすることを2010年9月24日発表しました。JR東日本はかねてより子育て支援プロジェクトを始めており、駅型保育園を35カ所(2010年7月13日現在)開設していますが、学童保育はここが初めてです。

また、明光義塾を展開する明光ネットワークジャパンは、小学生専門の長時間預かり型学習塾 事業「明光キッズ」を事業展開することを2010年11月19日のニュースリリースで発表しています。
すでに沿線に多数の店舗を展開している東急グループのキッズベースキャンプに加えてこれらの取組が成功すれば、他の業界からも学童保育に参入する企業が増えて保育内容が多様化するとともに、全体として保育定員が増えることになります。料金は高くても高機能の学童保育を希望する家庭がそちらを利用することにより、従来型の学童保育の定員にはゆとりができることになります。
また、老人介護施設に学童保育が併設されていたり、病院の職員向けの保育園が学童も保育対象にしていたりするケースも増えています。親が安心して働けて、子どもが安心して親を待つことができる場所は今後とも多様化していくことでしょう。動向を引き続きウォッチしていきたいと思います。
※2010年12月5日に、育休後トーク:小1の壁なんてこわくない を開催します(@横浜)。小1の壁が気になる方はぜひご参加ください。
(このエントリは、2009年11月1日のはてなブログ記事 プロフェッショナルへの道 に対し、大幅に加筆・修正したものです。)

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