毎日がノー残業デー

東京電力からの節電の要請により、関東地方では企業がノー残業デーを設けるなどの対策を行っている。
しかし、もっと前からずっとノー残業デーの人たちがいる。
保育園や学童保育のお迎えに行く親である。
私も含め、以前は仕事し放題だった人が急に残業なしに対応するのは大変だ。
子どもが産まれる前は、定時後に送別会などがない限り、「今日は何時に帰ろう」なんて考えずに出勤していた。そして、基本的には定時で帰らず、2時間から4時間は残業するのが普通。一日の仕事の時間配分は特にしていなかった。
しかし、育児休業が開けて仕事を再開してからは、18時までに保育園に子どもを迎えに行かなければならなかったため、この時間になったら絶対席を立つと決めていた。
オフィスでの仕事は時間が来たらきっちり終わるものではない。しかし、保育園のお迎えは時間厳守だ。この二つの相性の悪さは自分ですべて吸収しなければならない。帰る前にあわてて机を片付けるのは、職場の人に気づかれると気まずいのでしたくない。常に机の上はきれいにしておき、一瞬でさっと帰れるようにしておくのだ。
朝の集中はハンパない。保育園で別れ際に子どもが泣いたことも、コーヒーを入れて席につきパソコンの画面を見始めると、自然と忘れてしまう。緊急のメールがないかどうかまず確認し、次に通常のメールをどんどん片付けていく。
TO DOは、優先順位の高いものから。たいていはその日が締め切りのものばかりになってしまう。本来ならば、少し期限が先でじっくり考えるべき作業をするべきなのだが、なかなかそういった時間はとれない。昼までにだいたいこの辺までかな、と検討をつけ、ひたすらこなしていく。
一番変わったのは、わからないことは考え込まずにすぐ人に聞くようになったこと。人にモノを聞くのは苦手だったので、かつてはファイリングされた資料を探したり、悩んだりしていた。しかし、ある程度調べてわからなかったら、それ以上考える時間は無駄なのだ。そんなことをしていたら仕事が終わらない。
トイレで同じフロアのママと偶然会ったときは別だ。そこで、子どもが自分の子より年上の人とかわす会話はとても貴重なので、あわてて職場に戻ろうなんて考えない。聞きたいことはみんな聞いてしまう。
昼間も席でパンなどを食べながら仕事をし、区切りなく午後に突入する。打ち合わせなどをこなし、突発的な仕事が入ってこないことを祈りながら夕方を迎える。
毎夕同じ時刻に建物の外へ出るようになると、日の入り時刻の変化がよくわかる。冬至を過ぎると、寒さが増すのと裏腹に、お迎えへ向かう道が毎日少しずつ明るくなるのがとてもうれしい。会社を出た途端、そういえば朝あの子泣いてたなー、と思い出す。
こんな生活に慣れてくると、もはや残業できない体質になってしまう。本来、朝から集中して仕事すると夜までは続かないのが普通なのではないだろうか?と考えたりもする。
今回の節電要請により、残業が当たり前だった人が、職場のママ・パパの働き方に気づいてくれたら、そこでコミュニケーションが発生し、新しい価値が創出されるかもしれない。そしてデフォルトは、残業しない、という暗黙のルールができることを願う。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次