(Q)
育児休業中の部下が職場復帰してくることになりました。休業中はコンタクトを取らなかったため約1年ぶりに顔を合わせることになるのですが、コミュニケーションを取る上で何に気をつけたらよいでしょうか。
(A)
本人は仕事と育児を両立できるのか、という不安でいっぱいです。まずは復帰してくれるのを待っていた、歓迎している、ということをはっきりと伝えましょう。
職場全体で歓迎しましょう
メンバー全員に、育休者が復帰してきたこと、担当する業務、勤務時間を伝え、サポートする雰囲気を作ることが大切です。
歓迎会は、本人の希望により時間帯を夜にするか昼にするか決めるとよいでしょう。
このときに気をつけるのは、「歓迎会」であって「出産祝」ではないということです。
仲の良い同僚が個人的に出産祝いをすることはかまいませんが、職場として行う懇親会は、あくまで、本人が職場の仲間として戻ってきたことに対するお祝いです。
なぜそこにこだわるかというと、職場の中には子どもを持つことを希望していたにもかかわらず、かなわなかった女性、男性の同僚がいるかもしれないからです。
そういうことは口に出さない人も多いのでわかりにくいですが、知らないうちに傷つけるようなことは避けたいものです。
そしてそれは、個人的な感情に起因する対立を防ぐためにも必要なことです。
子どもの話をしてはいけないということではありませんが、それよりも、
休業中に会社で起きたできごとや、人の出入りなどの、本人が知らないことをインプットする場にしてはいかがでしょうか。
そして、本人に、職場へ復帰するにあたっての仕事への意気込みをみんなの前でしっかり話してもらいましょう。
職場復帰面談をしましょう
育児休業中に面談をしていないのであれば、なるべく早く行う必要があります。
面談の目的は、本人の仕事と育児の両立環境を把握することと、仕事への意欲を確かめることです。
具体的には、保育所の状況、家族(パートナー、親など)のサポート状況、育児短時間制度などの両立支援制度の利用の有無、繁忙期には働く時間を増やせるか、シフト勤務、休日勤務ができるか(該当する職種の場合)、仕事への意気込み、育休中に仕事関係の勉強(資格取得など)をしたかなどです。
職場復帰面談の際に便利な「職場復帰面談シート」が会社で用意されている場合は、本人に記入させて、それをベースに面談を行います。
面談のやり方について会社のルールがわからないときは、人事/ダイバーシティ推進室などの部署に問い合わせてみましょう。
会社で「面談シート」が特にないということであれば、下記を参考にします。
(1)厚生労働省の「産休・育休復帰支援面談シート」
育休復帰支援プラン策定のご案内|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000067027.html
このページから「育休復帰支援プラン」策定マニュアルが
ダウンロードできるようになっていて、その中の
10-1 管理職と産休・育休取得者のコミュニケーション・ツール「産休・育休復帰支援面談シート」[88KB]
が相当します。
(2)育休後コンサルタントの「職場復帰面談シート」
次のページに掲載されている項目を参考にしてください。
http:// 1995consultant.com/weblog/20130331/
また、同じ情報が「改訂版 さあ、育休後からはじめよう 〜働くママへの応援歌〜」114ページにも掲載されています。
合わせてご利用ください。
「働く時間に制約があること=意欲の低下」ではありません
上司として大切なことは、
子育て中であることや、働く時間に制約があることは、仕事の能力や意欲の低下とは無関係である
という考え方に基づいて部下に対応することです。
残念ながら多くの職場で、時間の制約がある社員は責任感がない、という偏見があります。
これこそが、育児中の社員がやる気をなくす元凶なのです。
個人の持つ経験、能力、人間力を最大限に引き出し、短時間でも効率のよい働き方を認め、評価しましょう。
社会全体が長時間労働の弊害に気づいた今、育児中の社員の効率のよい働き方にはほかの社員が見習うべきポイントがたくさん含まれているはずです。
育児中の社員がどんなふうに扱われるのか。
時間の制約のある働き方でも活躍できる職場なのか。
これから育児を考えている若手の社員たちは、上司の采配を鋭く観察していることでしょう。
上司のイクボス力が、注目されています。
アドバイス:復職する部下を歓迎し、どんな役割を期待しているかを伝え、サポートするから一緒にがんばろう、と応援しましょう