なぜ、パートナー同伴の育休後職場復帰セミナーが増えているのか

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職場復帰した女性に活躍してほしい

企業が育休中または復職後の社員向けに実施している、育休後職場復帰セミナーには、本人だけでなくパートナー同伴を求めるものが増えている。土日に開催したり、保育を用意したりすることで、夫婦での参加率がかなり高い。 なぜパートナー同伴セミナーが増えているのだろうか。 私も当初は、育休を取った人が職場復帰するのだから、本人さえしっかりした心構えをすればいいと思っていた。しかしそれでは不十分であることがここ数年の取り組みでわかってきた。なぜか?多くの育休取得者は女性であり、彼女たちは復帰すると同時に、育休中に行っていた家事・育児を一人で抱え込んだまま仕事を再開してしまい、パートナーと分け合おうとしないのだ。 企業側は、復帰したらぜひ活躍してほしい、時短を少しずつ減らしていって早くフルに戻してほしい、と願っている。同僚とよく相談しながら仕事をうまく共有してなるべく穴をあけずにやってほしいと思っている。

夫に協力を求めることができない

しかし本人はなかなかその気になれない。または、その気になったとしても、やるべきことが多すぎて1日でこなせず、途方に暮れている。時短をフルに戻したり、仕事を責任もってやりとげたりするためには、家事、育児の負担を減らす必要がある。もっとも身近にいるパートナーとの分担が鍵を握るのだが、そこがなかなかうまくいかない。というか、家事、育児の分担についてあいまいにしたまま、共働き体制を迎えてしまう夫婦も多いのが現状だ。 分担がうまく行かない理由として、パートナーが長時間労働をしているから頼めないという人が多い。 しかし、それはきちんと話し合った結果、二人で出した結論だろうか。 私はこの件について、かなりの確信をもって「夫婦間で話し合いがなされていない」と考えている。 ”夫はたぶん早く帰ってこれないし、そうしたいと思ってもいないだろう” と相手の立場を想像し、妻が勝手に引き下がっている気がしているのだ。 夫は夫で、 “特に言われてないから、いいかな” と安易に考えている。 「話し合いがなされていない」という確信をどのようにして得たのか。

「目からうろこでした!」

それは、育休中もしくは、復職した女性に「保育園の送り迎えを夫婦で分担しましょう、特にお迎えを週1ぐらいはパートナーに代わってもらいませんか」と話したときの反応からである。 なんと、彼女たちは「その発想は、目からうろこでした」と言うのである。 「え?どこが?」と思うだろうか。 それとも「たしかに、それは考えもしなかった」と思うだろうか。 育休をとった女性も、子どもができる前は時間外労働をすることがあっただろう。 中には、長時間労働が常態化していた人もいるはずだ。 20年以上前、私自身も、子どもが生まれる前は遅くまで働くことが多かった。時間を意識しないで、なんとなくだらだらと働いていた。だから育休復帰後に保育園のお迎えのため後ろが決まった働き方になったとき、それに慣れるのは難しかった(けどやっていた)。さらに、毎日定時で帰る分際で将来のキャリアなんて考えてもしかたがない、とあきらめていた。 今の時代でも、女性たちは子育てのために自分が保育園の「お迎え」を担当するのが当たり前、と覚悟する。その結果、職場で周囲にものすごく気兼ねしたり、いろんなことをあきらめたりせざるを得ず、悩んだり不安に思ったりしている。そして、それを自分だけが背負うべきものという思い込みから、夫にその複雑な気持ちを話していない。お迎えを夫に代わってもらうなんて、最初から選択肢の中にないのだ。

希望はパパにあり

一方、いまどきのパパたちの意識は、過去から大きく変化してきている。朝、スーツの上から抱っこ紐をして子どもを抱き、保育園バッグとビジネスバッグを持って足早に歩く男性を見かけても驚かなくなった。このパパたちなら、妻が時短を取ることについての不安や仕事上で感じるであろう葛藤を率直に話せば、自分だけがいつまでも長時間労働をしていていいのか?と気づいてくれるにちがいない。パパ世代の意識の変化を信じきれていない妻たちがむしろ、昔ながらの役割分担にしがみついているんじゃないのか。 そこで、家ではできそうでできない夫婦の率直な話し合いを、会社で、セミナーの場でやってもらおうと思った。 二人で話し合ってもらっているときの様子を見ていると、若干、妻のほうが押し気味で自分の意見を話している様子が見られる。逆に夫が、無理なものは無理、と押し返している様子もあったりする。いつも、なんでも話し合ってます〜という夫婦は楽しそうだが、反対に、膠着状態なのか、押し黙っている夫婦もいる。いずれにしても、話題にできたことだけで大成功だ。

新しい共働き夫婦像を自分たちで

妻が育児休業を取得して働き続け、会社からも期待されている、というような共働き夫婦は、全体からすると少数派である(年間出生数の約4分の1にあたる数の母親が育児休業給付を受けている)と同時に、歴史も浅い。そのため、妻の収入がかなり高く夫婦の収入差があまりない(場合によっては夫<妻)にもかかわらず、夫だけが働く世帯を前提とした夫婦の役割分担像を払拭出来ていない夫婦が多くても無理はない。 社会全体の啓発活動でこの意識を変えていくべきなのはもちろんであるが、それには時間がかかる。現在伸び盛りの20代〜40代女性社員を、少しでも早くその呪縛から解放してあげたい。当然、仕事と子育てのバランスをどこで取るかは個人差があって当然であるが、それは外圧で決められるのではなく自分の心の奥底から出てくるものであるべきだ。 そして、夫である男性には、父親として仕事と育児の両立をする覚悟、職場の上司や同僚との関係の中でそれを主体的に実現していく勇気を持ってほしい。 働き方改革の主役である若い親たちを支援すべく、企業におけるパートナー同伴セミナーを効果的に実施する機会を増やすよう、私も今後さらに努力していきたい。]]>

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