梅田望夫さんの『ウェブ時代をゆく』(ちくま新書)の中に、ロールモデル思考法という考え方が出てくる。道なき道、けものみちを歩くことを選択した著者が、自分の好きなことを見つけて育てるために編み出した、思考法である。
この本を読むまで、ロールモデルとは、「誰かみたいになりたい」という対象となる、単なるあこがれの人だと思っていた。
誰かを思い浮かべながら、あんなふうになれたらいいなあ、と漠然とした願望を持っていたように思う。
梅田氏の編み出したロールモデル思考法は、それとは違う。
たった一人の人物をロールモデルとして選び盲信するのではなく、
「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に流れるこんな時間」
「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生の
ありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の
合うロールモデルを丁寧に収集するのである。
自分が惹かれる対象について、なぜ惹かれるのかを突き詰めて考えつづける。それを繰り返してたくさんのロールモデルを発見することが、すなわち自分を発見することだ、と著者はいう。
確かに、何から何までこの人のようになりたい、という存在を探そうとすると、「ロールモデルになる人がいない」なんていう事態も起こりうる。しかし、多面性を持つ自分をみつめ、それぞれ別のロールモデルをさがせばよいのだ。
また、著者は時代を超え、国を超え、時には人でないものをロールモデルにするのも全然OKとしている。身近で実在する人物である必要性はないのだ。シャーロック・ホームズでさえ、かつての梅田氏にとってはロールモデルだったのだから。
企業で働く女性技術者はまだまだ数が少ないため、「職場にロールモデルとなる女性の先輩がいない」と言う声がよく聞かれる。そんな人に限って、身近に女性の先輩がいたらいたで「職場の先輩は優秀すぎてお手本にならない」なんて言うのだ。
そんな貴女は、ロールモデルを一人に決めず、世の中をよく見てたくさんさがしてみてはいかがだろうか。
仕事への姿勢についてはこの人、子育てへのスタンスはこの人、プライベートの過ごし方はこの人、といったように。そして、自分の成長とともにそれはどんどん変わっていっていい。
今日からブログを毎日書こうと思う。ロールモデルは梅田さんである。
(このエントリは、2008年2月20日にはてなブログ プロフェッショナルへの道 に書いたものに加筆、修正したものです。)
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/11/06
- メディア: 新書
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