「雇用均等室に行ってきました(1)」の続きです。
今回は、雇用均等室で受け付けている「相談」について紹介します。
神奈川県労働局が平成23年5月27日に発表したところによると、平成22年度の相談件数は8,391件(前年度4,683件)でした。
相談内容の内訳は下記の通りです。
男女均等関係 :1,596(セクハラ関係 718件含む)
育児・介護休業関係:6,508(不利益取り扱い 382件含む)
パート労働関係 : 287
計 :8,391
前年度からの増加件数(3,708)は、育児・介護休業関係の増加件数(3,541)とほぼ一致します。これは、平成22年6月30日から改正育児・介護休業法が施行されたことを受けて、事業主からの制度に関する問い合わせが増えたからです。相談件数の総数が年間約8,000件というと、稼働日が250日として1日30件以上となり、大変な数字だと思いましたが、大半は改正された部分についての問い合わせだということがわかります。男性の労働者からの、育児休業についての質問もあるそうです。
労働者からの相談は上記の3分野全体で1,599件。これはまず電話で受け付けします。
電話で話すときには、匿名でもいいそうです。
雇用均等室としては、できれば対面で話をし、必要な書類を見せてもらって対応したいということです。
対面の場合には会社名と氏名を書く書類がありますが、中には書かない人もいるとか。
相談者はどんな様子ですか、とうかがったところ、育休関係の方は冷静です、ということでした。よく聞いてみると、セクシャル・ハラスメントの相談者と対比してのことだとわかりました。セクハラの相談者は精神的に追いつめられて余裕のない人が多い(加害者への憤りを感じました!)のに対して、育休関係の相談者は問題点を順序立てて説明する人が多いそうです。
不利益取扱いのケースについて知りたかったことの一つ、つまり、事業主は確信犯なのか、無知なのかどっちなんですか(言葉が乱暴ですみません)、と聞いてみました。相談員さんのお答えは「どっちもあります」とのこと。
確信犯の場合、労働者は理論武装して覚悟して対応する必要がありそうです。でも単なる無知の場合は、会社と対立する必要もなく、100%自分の立場が保証される可能性が高いということです。自分自身の状況判断、情報収集が大切である、という思いを一層強くしました。
相談の結果、相談者が希望すれば、雇用均等室が会社を指導し問題が解決する場合があります。
相談だけで終わったようなケースについては、時期をおいて電話でその後どうですか?と聞いてみることもあるそうですが、たいていの場合は納得しているようだということでした。
労働者が、職場からの対応について不当ではないか、なにかおかしいのではないか、という疑いを持ったときのアドバイスをうかがったところ、次のような点を教えていただきました。
- サインしない。
- 承諾しない。
- あいまいな返事をしない。
ではどうするかというと、「今ここでは答えられません、少し考えさせてください」と回答を保留すること。そして、疑いを晴らす手段のひとつとして、雇用均等室へ相談してくださいとのことです。
次回は、労働者と事業主との間でのトラブルの早期解決のための、個別紛争解決援助についてです。