上場企業は役員の最低40%を女性にする「女性役員割当制度」という法律がノルウェーで2003年に作られました。(正確にいうと、男性も女性も40%以上にしなければならない。)
当時の大手企業の女性役員比率は7%であり、経済界は猛反対。達成目標の05年末になっても女性役員比率は18%にとどまったため、政府は2006年1月、「2年以内に40%に達しない会社は解散させる」と制裁を予告。その結果、2008年2月に目標は達成されました。
朝日新聞(2010年3月17日13版)国際面にこんな記事が出ていました。
女性の人材育成の必要性を痛感したノルウェー経営者連盟は、「女性の未来」という名の女性役員育成講座を設けてこれまでに1200人余りが受講しました。1年間の講座で、受講料は約108万円。本人負担はゼロで、企業は4万円負担、残りは経営者連盟、政府、自治体が負担します。卒業生4人に1人が大企業の役員になっているということです。
この記事に学ぶべき点は以下の二つでした。
1.トップダウンで目標値と制裁を明確にすることが効果的。
ノルウェーと同じ数字と制裁の中身が日本に合っているかどうかは別として、ダイバーシティやワークライフバランスを推進するためには数値目標と期限、守れなかった場合のペナルティを明確にする必要があるでしょう。日本でも必要だからワークライフバランスが叫ばれているのに、なかなか進まないのは行政側が及び腰だからです。政府の毅然としたリーダーシップがあってこそ、企業側の推進力も強くなるのではないでしょうか。大企業の取り組みはかなり進んできたにもかかわらず中小企業でいまだに旧態依然とした女性差別や育休切りのような行為が横行しているのは、罰則が弱いからだと思います。
2.役員になるためには教育が必要。
役員を管理職と置き換えてもいいです。実務のスキルセットと、管理職以上に必要なスキルや知識は全く違います。経営学にはたくさんの要素があり、個人個人で得意、不得意がどうしても出てきます。教育ですべてを身につけることはできませんが、自分の弱いところを知り、これからどのように勉強していくべきかを知ることができるだけで、大きな成果が得られると思います。
記事によれば日本の女性役員の比率は1.4%です。厚生労働省は、ポジティブアクションの推進のために女性の活躍推進協議会を設け、活動しているようですが、あまり伝わってきておりません。(下記:2010年2月19日報道発表資料「ポジティブ・アクション普及促進のためのシンボルマークを決定しました!」)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004eod.html
シンボルマークを作っても、知られていなければ意味がありません。単に発表するだけでなく実効が上がるような世論への働きかけをしてください。
さらに、ポジティブアクションはこっち、子ども・子育てビジョンはあっち、といったようにバラバラな動きをされても困ります、対象は1人の人間なのですから。ぜひ政府の中で両者が常に連携を取り、企業の施策がどちらかに偏らないように指導していただきたいと思います。
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