7月15日に厚生労働省から「平成22年度雇用均等基本調査」の結果が発表されました。
「平成22年度雇用均等基本調査」結果概要|報道発表資料|厚生労働省
結果概要で紹介されたのは4つの点です。
<企業調査 結果のポイント>
1.ポジティブ・アクションの取組企業割合は28.1%
2.女性の活躍を推進する上での問題点があるとした企業割合が低下
<事業所調査 結果のポイント>
3.女性の育児休業取得率は83.7%、男性の育児休業取得率は1.38%
4.女性の育児休業の取得期間の長期化
この中で、今回は1について気になる点を書いてみます。
1.ポジティブ・アクションの取組企業割合は28.1%
女性の能力発揮促進のための企業の積極的取組(ポジティブ・アクション)に「取り組んでいる」企業割合は28.1%(平成21年度30.2%)と前回調査に比べ2.1%ポイント低下。産業別にみると、金融業,保険業の取組割合が最も多く45.0%。
ポジティブアクションに取り組まない企業が実に71.9%、多いな、という印象です。理由を聞いた結果(図8)は、
既に女性は十分に活躍していると思うため 44.4%
業績に直接反映しないため 11.1% *
女性の意識が伴わない 9.0% *
ポジティブ・アクションの手法がわからない 7.8%
トップの意識が伴わない 2.5%
コストがかかる 0.5%
男性からの理解が得られない 0.4%
その他 24.3%
という結果でした。
一般的に、◯◯に取り組まない理由はなんですか、という質問に対する答えは、大きく分けて次の二つです。
1.問題が解決し、取り組む必要がなくなったから。
2.問題は解決していないが、取り組めない事情があるから。
上記の回答をこれに従って分けてみると
1.問題が解決し、取り組む必要がなくなったから
・既に女性は十分に活躍していると思うため 44.4%
2.問題は解決していないが、取り組めない事情があるから
ー>事情とは、下記の通り
・業績に直接反映しないため 11.1% *
・女性の意識が伴わない 9.0% *
・ポジティブ・アクションの手法がわからない 7.8%
・トップの意識が伴わない 2.5%
・コストがかかる 0.5%
・男性からの理解が得られない 0.4%
・その他 24.3%
となります。
1の44.4%について、そんなに皆さんの会社では女性が十分活躍しているんですか?と聞き返したくなりましたがそれは置いておくとして、
2の、問題は解決していないが取り組めない事情の上位二つ
「業績に直接反映しないため」
「女性の意識が伴わない」
これらを振りかざす人に出会うと、私などは一瞬ひるんでしまいます。まだまだ甘いです。
しかし、だからといって「そうですか〜それではしかたないですよね。」と言っていたのでは、女性が能力を発揮できる、働きがいのある組織作りはいつになってもできません。そこで、こんなふうに切り返してみることにします。
「業績に直接反映しないため」
ー>業績に直接反映しないような意識改革は実施しないのですか。社内の公用語を英語にする会社がありますが、業績に直接反映しなかったら1年2年で取りやめると思いますか。能力を最大限発揮していない女性社員に対して機会を与えて支援する動きはグローバル化と同様、後戻りするものではありません。優秀な人材ほど、自分の能力を発揮させてくれる企業に流れていくことになります。
「女性の意識が伴わない」
ー>多くの企業でそういった声を聞きます。実際女性社員の声を聞いてみると、いくつか意欲が低下する原因があることがわかっています。それをきちんと把握していますか。法律に準じた制度、あるいは法律以上に充実した制度を作ったのに思ったほど女性が活躍しない、という会社は、制度の運用が円滑にできているか、職場が制度の趣旨を理解した上で利用できる雰囲気になっているかを確認してみてください。
ちなみに、この二つの選択肢は今回の調査で初めて追加されたものです。
この選択肢の背後にどんな問題があるのかを詳細に分析した上で、本当にそれがポジティブアクションを行わない理由として正当なものなのかを、人事担当者や経営者は見極めなければなりません。
ポジティブアクションに積極的に取り組んでいる企業の事例は、厚生労働省の「均等・両立推進企業表彰受賞企業一覧」から参照することができるので、ご覧になることをおすすめします。どの企業も一朝一夕に成果を出しているわけではないことを肝に銘じていただきたいと思います。
厚生労働省:均等・両立推進企業表彰について
厚生労働省:均等・両立推進企業表彰受賞企業一覧