本の紹介:「新・ぶら下がり社員」症候群

「新・ぶら下がり社員」症候群

「新・ぶら下がり社員」症候群


働く人のモチベーションについて調べていたところ、この本に出会いました。
人材育成を手がけている著者は3年ぐらい前から、「30歳前後の中堅社員の元気がない」という相談が増えていることに気づいたそうです。
「新・ぶら下がり社員」は、フリーライダー(ただ乗り社員)とは異なり、与えられた仕事は一応こなし、仕事の態度はふまじめではない社員です。
表紙の写真からもわかるように、この本で対象にしているのは30歳前後の社員であり、男女の区別はされていません。ただ、この本の中で4ページ分だけ女性社員に限定して書かれた節がありました。
「女性社員がくすぶる理由」と題した節で、著者は理由をこう書いています。

今の新・ぶら下がり社員の世代は、働きたいのに続けられないから無気力になるのである。やる気がないのに働いている先輩たちの姿を見て、同時に働きながら出産・子育てをする大変さも目の当たりにし、自分のモデルとなる理想像が身近にいないので、不安になり悶々とした日々を過ごしている。

著者は、30歳前後の女性社員の心理をおおむねよく理解していると感じました。そして、女性社員の能力についての現状認識にも、個人的にはとても満足しています。

今は「男性よりも女性のほうが優秀な人材は多い」と、新卒で女性を中心に採用する企業が増えている。仕事もできるし、会社の事情もわかっているうえ、経験もある。その貴重な人材を10年足らずで新・ぶら下がり社員にしてしまうのはもったいない話である。

実際、最近お会いした金融機関で働いている女性から、新卒の男女比は1:2で女性が多い、と聞きました。全員が総合職です。その人は法人営業を担当しているとのことで、法人営業でも女性の割合がどんどん増加しているとのことでした。
それでは、著者は女性社員を新・ぶら下がりから救うにはどうしたらよいと考えているのでしょうか。これについては、比較的オーソドックスな方法が書かれていました。つまり、「産休・育休制度や、復帰後のサポート体制を充実させるのが一番効果的だと思う。」そして、「さらにいうなら、職場の人の意識も変わるべきである。」
この本は、人材を育てる側に向けて書かれているため、職場が変わるべき、と書かれるのは当然といえば当然なのですが、貴重な女性社員の能力を生かす職場作りが必要だ、ということを本気で考えていることが読んでいて伝わってきました。なんだかうれしく感じました。
たった4ページのことを詳しく書きすぎてしまいましたが、この本の多くのページは、新・ぶら下がり社員がどうしたら変われるかについて、具体的な働き方を実例を交えて説明することに割かれています。会社や、管理者がすべきことはどれも基本的なことですが、基本的なことがおろそかにされたり見過ごされてきたからこそ、新・ぶら下がり社員のような存在が問題になっているのだと思います。
もう少しがんばってほしいなあと思わせるような30歳前後の社員を抱えている方や、マネージャーとしてもっと成長したいと考えている方に、きっと何らかのヒントを与えてくれると思いますので、お薦めしたい本です。

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