各地でお父さんのためのパパスクールが盛況です。
先週はそのうちの一つを聴講させていただき、熱気にふれることができました。
ワーキングマザーを15年やってきた者として、イクメンの皆さんに期待していることがあります。
それは、仕事で実現したいと思っている夢を育児のためにあきらめないでほしい、ということです。
これまで組織で働く女性は、出産を機に残業の少ない部門に異動になったり、専門性を生かせない職種に変えられたりすることがよくありました。中には、個人の資質を全く見ずに、母親になったというだけの理由で社内の特定の部門に異動させる、という組織も存在します。
組織の言い分は、子育てとの両立は大変だから最大限に配慮した、というものですが、それまでに積み重ねた経験や、本人が感じていたやりがいを無視した異動であることも少なくありません。背景には、長時間労働が常態化した職場があり、人の評価を労働時間の長短で行うといった旧態依然とした体質があります。ワーキングマザーはそれに反発してきてはいるのですが、総合職全体に占める女性の割合が6%と少ないこともあり、組織改革にはなかなかつながっていないのが現状です。そうでなくても子育ての負担が重い状態でさらに組織と対立して居づらくなるよりは、がまんして仕事を手放さないようにしたほうが得だという考えも働いていると思います。
ワーキングマザーだって本当は出産前と同じ仕事を引き続き担当し、その分野でさらに磨きをかけたい。長時間労働があたりまえな風潮をなくすには、仕事のプロセスを見直して効率化するとともに、組織の枠を超えて業界全体で労働時間を減らしたり、過剰サービスをやめたりすることが不可欠です。そういった改革を行うには組織内にもっと味方がほしい、と考えていたところに、イクメンブームがやってきました!
組織で働くイクメンの皆さん、男性である皆さんは、育児休業を取得した後も、イクメンであり続けてください。そしてワーキングマザーがなかなか声を上げられずにいる組織改革に、正面から取り組んでほしいのです。不要な仕事をやめたり、仕事のプロセスを改善して業務効率を向上させてください。問題意識を持っている社員がきっと協力してくれるはずです。
仕事での大きな目標を見据えながら、やり方を工夫して育児との両立を図る。
組織にこんなイクメンが増えたら、時間制限のある社員でも力を発揮できる職場となり、若年層の離職率も男女ともに減るでしょう。
イクメンの方々を見ていて少し気になるのは、育児休業を取ること自体を目的にしているのではないか、という点と、自分自身の夢をあきらめていないか、という点です。
育休を取れないパパも、料理が苦手なパパも、自分の得意な分野、自分らしさを生かしてパートナーを助け、子どもと遊べれば、立派なイクメンです。苦手なところをあまり無理して伸ばさなくてもいいと思います。ママたちも応援していますので、個性を生かしたオンリーワンのイクメンにチャレンジしてみてください。
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