育休後コンサルタントの事業を開始して10年の節目に、
というイベントを開催していただきました。
約80名の方にご参加いただき、充実感を感じることができました。
参加してくださった皆様、主催のエンパブリック社には本当に感謝いたします。
キーノートスピーチ
キーノートスピーチで話したことの一部を、ご紹介します。
この10年間、育休後コンサルタントしてやってきたこと
→ こちらの記事に書きましたのでご覧ください
育休後コンサルタントを始めてから10年たちました
社会の変化
2009 改正育児介護休業法(時短勤務義務化など)
2010 イクボスプロジェクト
2012 働くなでしこ大作戦
2013 男性育休100%を推進する企業の出現
2015 女性活躍推進法
2016 「保育園落ちた・・」ブログ記事による待機児童問題の顕在化
2018 医学部不正入試問題
男性育休100%&1ヶ月以上を推進する企業の出現
2019 働き方改革関連法
2020 男性閣僚の育児休業取得
パワハラ防止法
同一労働同一賃金ガイドライン
2020年時点で感じること
・アンコンシャス・バイアスの存在への真の理解が足りない
・多元的無知が改革を阻む(残業削減、男性の育休取得)
・女性活躍・働き方改革への取り組みの企業間の差はどんどん広がっている
コロナ禍で顕在化したこと
・社員の健康や命を大切にしている会社か否か
・テレワーク (在宅勤務を含む)が万全か見かけ倒しか
・人事評価の理不尽さ
・メンバー型雇用からジョブ型雇用への転換の加速
・社会や子どもの変化に追いついていない公教育
・働く人の自立(自己決定)が強く求められるようになる
これからの育児と働き方
・日本型雇用システム(終身雇用、年功序列、企業別組合)を当てにしない働き方・生き方を意識しよう
・(いわゆる)性別役割分業意識から自由になろう
・子育ての目的は子どもが自立できる力をつけることと心得よう
パネルトーク、グループディスカッションで感じたこと
パネリストのお二人や、参加者の皆さんから、コロナ禍での仕事と育児の両立の多様な形がきわめて具体的に、イメージできる形で語られました。
・テレワークにほぼ移行してあまり問題なく働いている人
・現場仕事なのでテレワークができず、出勤した人
・危険性の高い職場で家に子どもがいるため、出勤を停止している人
・保育所で、医療従事者等の子どもに保育を提供している人
・これまで参加できなかったセミナーがオンライン化され、学びの機会が爆発的に増えたと感じている人
3回のグループディスカッションでそれぞれ異なるメンバーに分かれたことで、ふだん会わないような属性の方と話す機会が得られました。
今の世の中で起きていること、これから起きそうなことが、自分の狭い体験だけではなく、他者の視点で再認識され、立体的に浮かび上がってきた気がします。
あらためて、これから
10年間のスタート地点では、比較的目の前で起きている課題をどうクリアするか、というところから解決方法を考えていました。
それをするうちに、なぜこうなってしまうんだろう?みんなが困っているということは、個人要因ではなく、あきらかに社会の側に問題があるはずだ、という思いが強くなりました。
でもそれは、何?
もともと技術系出身であり、社会学的な知識は限られていましたが、少しずつ関連しそうな本を読んだりして、少しずつ、問題の根っこに迫りつつあります。
今、この時点でたどりついた問題の根っこは、キーノートでも述べたように、次のようなものです。
・日本型雇用システム
・性別役割分業意識
・差別、偏見
これはいずれも、社会全体、組織全体で取り組まなければいけないものですが、変化の速さは均等ではなく、自分の身の回りはいつまでたっても変わらない、という人もいるでしょう。
しかし、だから自分も変わらなくていいということにはなりません。
周囲が変わらないことをいいことに、理想でないとはわかっていても、古い、居心地のよいぬるま湯から出ようとしない人も多い。そのほうが楽だからです。
しかし、それでは次世代に理想に近い社会を残すことはできません。
よくよく見てみると、古い組織の中にも個人レベルでは理想の形を知っていてそちらに行こうと行動している人がいます。
若い男女は理想形を自然にイメージできている人が多いです。
そして、既得権益をもっていることの多い、変わらないほうが得なはずの、男性の年長の人にも、そういう人がちゃんといます。
日本型雇用システムからの脱却、性別役割分業の束縛からの解放、自分の中の差別・偏見を客観的に意識するための不断の努力。
これを促すための活動をこれからもやっていきたいと思います。
あなたのまわりの人に変わってほしいとき
「どうしたら、古い考え方の人たち(経営者、職場の上司、同僚、パートナー、親など)を変えられますか?」
とよく聞かれます。
まずは、自分の言葉で、不公平感、理不尽さ、矛盾、不快感、疎外感などを相手に伝えてください。
なるべく具体的に、どういうときにこういう気持ちになった、ということを感情を込めずに、客観的、理性的に、論理的に。
一度で理解していもらえなくても、あきらめずに繰り返し、繰り返し。
問題の原因は個人的要因ではない、つまり、相手が「悪い人」だから発生しているのではないことが多いのです。
社会的な要因により、限られた人生経験により、偏った考え方がその人の中に育ってきてしまっただけかもしれないのです。
人の考え方を変えるのは難しいですが、個人レベル、組織レベル、社会レベル、国レベル、グローバルレベルで、アプローチするしていく必要があります。繰り返し。
そのときに、実際に被害を被った人が黙っていると、いつまでたっても周りの人はそういうことがあったことを認めたがりません。
自分の感じたことをがまんせず、周囲に伝えましょう。
子どもにも、そう教えましょう。
間接的なアプローチとして、本や映画が、人の心を動かすことがあります。
最近ようやく、本や映画がフィクションの形を借りてなにか強いメッセージを読者に伝えようとしているんだ、ということに、そしてその圧倒的な効力に気づきました。
本や映画(映像)を使って人々の意識を変えることにも、今後挑戦していきたいです。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
次の10年も、元気よく駆け抜けていきます。
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