そうだったらいいのにな 育休後の復職に関する首相と経済団体トップの経営者との会話(架空)

首相「育休を3年取れるようにしてください。また、役員に一人以上女性を登用してください。」
経営者「首相、わが社をはじめとして、いまでも、育休は最長3年取れるところが結構あります。
   しかし、ほとんどの社員が1年ほどで戻ってきます。」
首相「3年取れてもうれしくないと?」
経営者「1年でも職場の変化は大きいので、長く休むことは仕事を続けるためには必ずしもいいことではない、という判断です。職場も、あまり長く休まれるとマネジメントが大変で、元の職場に戻そうとしてもポストがないということが容易に起こり得ます。」
首相「なるほど、そうやって戻ってきた女性社員が時短をとりながらもキャリアを継続し、将来の管理職に育っていくわけですね。頼もしい限りです。」
経営者「育休期間を延長して、復職支援プログラムを提供する、例えていえば、わざわざ体重を増やしておいて、あとでダイエットをするようなもので、資源の無駄遣いではないですか?学ぶということはその間子どもはどこかに預けるわけですよね。その辺復職は早目にさせ、働き方を時間や場所の融通がきく形で選択肢を増やすほうが、育休者にとっても職場にとってもwin-winです。家庭で収入が落ち込む期間が短くてすめば、消費意欲につながります。職場でも、その人が全くオフなのと、その場にいなくてもすぐ連絡がとれるのとでは全く違いますからね。」
首相「確かにそうですね。そして、男女が交代で育休をとれば、子どもにとっての育休は長くなりますし、夫婦それぞれのブランク期間は短くなりますね。企業は男性の育休をもっと取りやすくしてください。」
経営者「ええ、そこは努力します。ただ、復職の時期については、大きな障壁がありまして。大都市限定の問題なのですが」
首相「というと、保育園不足の問題ですね」
経営者「はい、1歳児の枠が少ないため、親が1才ごろまでは家で育てたいにもかかわらず、6ヶ月にも満たない時期で預けることを余儀なくされたり、復職をあきらめるところまで追い込まれてしまうケースもあるのです。」
首相「なるほど、育休をただ延長するより、親が望む時期にいつでも復職できるようにすることのほうが大切、というわけですか。わかりました、保育所定員を40万人増やします。民間の知恵を利用して、用地不足や保育士不足に対応するよう、自治体に要請していきます。企業の側でも、事業所内保育所の設立を検討してください。」
経営者「わかりました。ところで、役員に女性を1人以上登用する件ですが」
首相「問題でも?」
経営者「役員よりまず管理職に女性を増やさないことには。自社で人材がいないので役員クラスの女性を社外から調達する、といったことになりかねません。もしかすると会社間で取り合いになるかも。。。」
首相「管理職の女性社員は2020年に30%という目標です。すぐにでも手を打ってください。」
経営者「そもそも、管理職になる層に女性が少ないのです。子育て中の女性社員でそういった年齢に差し掛かっている社員は確かにいるのですが、実績の評価が低くてなかなか昇格につながりません。過去からの経緯で、どうしても長時間会社にいる者のほうが高く評価されるようになってしまっています。」
首相「それは旧態依然とした価値観ですね。労働時間の制限を他国並みに厳しくして、長時間労働を減らす取組みをしていく方向で検討します。」
経営者「期待しています。子どもがいて早く帰る社員は本当に朝から目の色を変えて仕事をしているんです。あ、そうだ。。。」
首相「なんですか」
経営者「子どもが小学校に入ってから、短時間勤務を取れるようにしてほしい、と最近よく言われるんですよ。期待して育成していて、そろそろもう一歩コミットしてほしい、と思っていた社員からそう言われるので、なぜ?と聞いてみたんです。」
首相「ええ。」
経営者「すると、小1の壁だっていうんです。小学校に上がると、放課後子どもを預かってくれる場所があるにはあるのですが、学童期の子どもを一人一人責任を持って預かってくれる「学童保育」が足りないというんです。仮に学童保育に入れたとしても、親が迎えにいかなければいけない時間が保育園より早くて、そのため時短を取りたいと。」
首相「保育園の待機児童を解消するために保育の受け皿を40万人増やしたら、そのまま学童保育の定員も増やさなければならないと。これも行政の課題として真剣に考えます。」
経営者「あとは、管理職になりたくない、という社員が多いのをどうしたものか。」
首相「若い世代では男女関係なくそういう人が多いと聞きましたが、なぜなんですか。そんなに企業の管理職というのは魅力がないんですか?」
経営者「大変な部分はもちろんあるのですが、面白いし達成感があります。管理職としてどうあるべきかを考え、行動することで、自分の成長を感じることができます。こういったことを丁寧に伝えていくことが大切だというのはわかっています。2020年に30%ですから、1年毎に目標値を決めてクリアしていかなければ達成できません。候補者を選抜して必要な教育を受けさせます。げたをはかせて登用するのでは本人も周りも不幸ですから、ぜひ実力をつけた上で登用したいです。そういったポジティブアクションに対して、助成金や、国が推奨するプログラムをご用意いただけませんか。」
首相「検討してみましょう。役員1名以上を女性にする件は、それとは別にすぐにでもやっていただきたい。なにしろ、ノルウェーでは法律で40%以上を女性にと定めているのです。グローバル化を推進して行く以上、そういった国々にあまり遅れをとるわけにはいきません。すでに我が国でもクォータ制の導入を検討しています。」
経営者「私も経営者になるまでにはさまざまな試練にぶつかりながら、ここまでやってきました。正直、女性でそういった経験を積んだ人が、上場企業の会社の数だけいるかというと、たぶん足りないんですよ。ノルウェーの例をおっしゃいましたが、かの国でも実は該当する女性が足りなくて、海外からも採用したと聞きました。そして、その層の人材不足を解消するために、国が経営層の女性の育成プログラムを提供しているそうですね。ぜひ日本でもそれを実現させてください。」
首相「わかりました。官邸で考えた施策が的外れにならないためにも、今日みたいなお話は貴重でした。ぜひこれからも国がやるべきことをどんどん提言してください。」
経営者「ええ、ぜひ我が社も私についで二人目の女性経営者を登用したいと思います。」
首相「わたしはまもなく出産予定日ですが、産後も出来る限りすぐ執務を開始しますよ、それこそポストがなくなってしまいますからね。夫が育休を1年とってくれることになっているので助かります\(^▽^)/」
以上、首相と経営者の架空の会話でした。
♪ そうだったらいいのにな そうだったらいいのにな
以下は、安倍首相が4/19に述べた成長戦略の中で「育休を3年に延ばすよう要請する」と言ったことについての反応を集めたものです。
首相が育休を3年に延長することを経済団体トップに要請したことへの反響 – Togetter
https://togetter.com/li/490476

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