スウェーデンといえば、子育てがしやすい国として日本で名前が上がる国の一つです。
今回、家庭教育・次世代育成指導者研修(*1)の中の一コマとして傍聴した講義の概要と感想を書いてみました。

題目:「スウェーデンの地域ぐるみの子育て支援」
講師:大阪大学世界言語研究センター 准教授 髙橋 美恵子
日時:2011年5月14日(土)10:00-11:00
会場:国立女性教育会館 大会議室

<論点>
・子どもの視点に立つ子育て支援の仕組み
 〜両親の協同性、家庭と地域生活の協同性を前提とした枠組み
・地域ぐるみの子育て支援にみる機関連携のあり方
 〜「子どもの権利条約」における「育つ権利」と「守られる権利」の視座から

<興味深かった点>
・「子どもの最善」という概念を世界に先駆けて1916年施行の婚姻法に導入。1990年、「子どもの権利条約」批准後は、子どもに関する措置において、子どもの最善の利益を第一に考慮すべく(第3条)、さまざまな取組みが行われている。
→両親は同居、別居にかかわらず共同で子どもの養育に携わる。
→0〜1才は家庭での子育ちを地域社会が支える。1才〜5才は、公教育の一環とされる就学前学校を86%の子どもが利用する。
・5%ぐらいの既婚女性は仕事をしていない。この中には海外からの移民で仕事につけない人も含まれる。
・育児休業は480労働日。子が8才に達するまで、複数回に分けて利用可能。労働時間短縮制度との併用も可能。390日は所得の80%(うち60日は父親、60日は母親のみ取得可。上限額あり。残る90日は1日180クローナ(*2)
・1995-1996生まれの子どもをもつ親のうち育児休業を取得した者 女性97% 男性89% 取得された日数に占める男性の取得日数割合23.1%
・合計特殊出生率1.98(2010年)
・北欧5カ国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)が良い意味でのライバル。政治家は国境を超えて勉強会をしている。
・2000年からTCO(ホワイトカラー労働組合連盟)が父親指数を290の地区ごとに図にして毎年発表し始めた。それを契機に各地区が競い合うようになった。
・ネットワークハウスの取組み:子ども・青少年とその家族に関わる地域の機関と連携し、子どもを主体としたネットワークを構築、家族への橋渡しとなる。オープン保育所で親対象の食育講習、子どもの非行予防など、先駆的な取組みを行う

<感想>
・スウェーデンと日本の違いはいろいろありましたが、スウェーデンの「子どもの最善」という概念の影響力の大きさを感じました。父親の育児休業取得が進んでいることと、1才からの公的保育の充実ぶりは特にそれを表していると思います。
・スウェーデンでの父親の育児休業取得推進へのさまざまな取組みを見ると、1974年に父親の育児休業取得可能になってから「父親の月」(父親のみ取得可能な休暇)が導入されるまで20年かかっていますが、その後父親指数の発表、父親の月を2ヶ月に引き上げ、平等ボーナス(父母の休業の割合が均等なほど多く支給される)と次々に対策を実施しています。スウェーデンだから当然の結果、というわけではなく、工夫を重ねた施策を次々に打ち出すことによって現在の取得率、取得日数に到達しているのでしょう。日本でも最近は育休取得を希望する男性が非常に増えていますが実際の取得にはいたっていません。スウェーデンでTCOが行ったような数字の公表が、日本でも地域毎もしくは業界ごとに行われるようになれば、採用の場での危機感などが加速され、状態が改善するのでは?と感じました。

(*1)「家庭教育・次世代育成指導者研修」
http://www.nwec.jp/jp/program/invite/2011/page01.html
(*2)1クローナ=約13円

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