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「ひとことでいうと、この25年変わらなかった。(女性労働の視点から)」

『迷走する両立支援』対談&著者と読者の交流会」でも話題になった、正規労働者と非正規労働者の垣根の問題についても、何が問題でどういった解決方法がありうるのかについてヒントが得られたことは収穫でした。 また、Flexicurityという初めての言葉と出会うことができました。 このことばは、英語のflexible(柔軟性)とsecurity(保障)を合わせた造語です。デンマークの労働市場と雇用政策の特徴を表したことばで、日本でも注目されているそうです。 仕事と育児の両立をしながらやりがいをもって働く組織作りをめざす、という自分自身の課題に、非常に深くかかわってくる、覚えておきたいことばです。 1,2,3を通じて、「女性」に関するものに注目すると、下記のようなポイントが取り上げられていました。 ・女性の労働市場参加:1989年と2009年の比較で、20~39歳の範囲では女性の労働力人口比率が20%近く増えている。 ・非正規労働者の飛躍的増加(16.4%→33.7%)の中で、若年男性や女性(年齢層通じ)において顕著。 ・女性の機会均等―雇用機会均等法の制定・改正・労基法改正(1985、1997、2006) ・育児介護休業制度の整備―育児休業法の制定(1991)、育児・介護休業法の制定・改正(1995、1997、2004) ・女性の機会均等・能力発揮を促進する政策は、過渡的な漸進政策から出発して、次第に強化され、男女共通の性差別規制、男女共同参画、ワークライフバランスなどの政策へと移行。 こうやって見てみると、入社してからの自分の歩みと密接に関係した歴史であったことがわかります。門外漢にもわかりやすく、専門家にも役立つ本当にすぐれた総括であると感じました。 <パネルディスカッション> ・パネリスト4人には、それぞれ次のような分野が割り当てられていました。  樋口美雄氏:労働経済学、荒木尚志氏:労働法・労働法学、佐藤博樹氏:企業の人事管理、武石恵美子氏:女性労働  このブログでは、佐藤博樹氏と武石恵美子氏の発言にしぼってレポートします。 ・佐藤博樹氏の発言から。  - 企業の人事管理は、人事部だけで閉じない。人事部は20%にすぎず、80%は現場のマネージャーが担っている。  - 現場のマネージャーが果たす役割はますます大きくなっている。  - 人事で一番大事なのは、うちの会社にはどんな人材が必要なのか?ということを5年後、10年後を見通して見極めること。  - 社員に意欲的に働いてもらうためのインセンティブ(報酬)は何か。  - 男性で育児をする人が増えているが、そういう人も含め、仕事以外にやることがある人にも意欲的に働いてもらわなければならない。  - 現場の管理職の仕事を見直し、マネジメントに時間をさけるような体制が必要。 ・武石恵美子氏の発言から。  - ひとことでいうと、(女性労働に関しては)この25年変わらなかった。思ったような変化がなかった。  - 1970年には、日本の女性の労働力率は54%で、デンマーク、スウェーデンより高かった。  - 均等法施行後、1985年から1990年代なかばまでは、労働力率、雇用者数、正規雇用者数、平均勤続年数で前進がみられた。  - 一方、この時期には第3号被保険者制度導入、配偶者特別控除の新設があり、女性の就業促進を阻害することにつながる制度がスタートした。  - 1990年代半ば以降は正規雇用者数が減るなど数字の伸びがなくなり限界が露呈してきた。  - 女性労働の現状の総括として     ①均等法などの立法措置にもかかわらず、出産・育児で退職する女性のキャリアパターンにほとんど変化がみられていない。     ②男女の格差に加え、女性で急増する非正規と正規の格差問題が顕在化した。     ③25年前の女性労働をめぐる問題認識と基本的な構造が変わらない。若い女性が将来のキャリアを展望できない。制度的、形式的な対応にとどまり、実態を変えるに至っていない。  - 女性労働の視点から見た今後の課題    ・政策の方向性の明示:社会政策において、女性の終業促進を明確にするべき    ・「長期継続雇用」の規範をどこまで維持できるか    ・制度的・形式的な対応から実質的な働き方改革へ ・雇用の安定性と柔軟性(Flexicurity)をテーマとした討論での佐藤氏の発言から  - 有期契約の中でも長期間採用されている人がいる。たとえば、流通では有期契約で長期間更新している人が多く、毎年(形式的な)面接をして契約を更新しており、現場は非常に煩雑である。一方、メーカーでは更新は何回までと決まっていて、3年契約の場合は2年過ぎると職場はその社員を教育しなくなってしまう。  - これに対応するための一案として、無期契約の多元化(特約付き)という考え方がある。無期契約であるが、業務限定、事業所限定とする。これにより日本の有期雇用の8割は無期化できる。  - また、派遣の人材ビジネスを拡大し、派遣業務の中でキャリアラダーを作っていくという考え方がある。たとえば、        一般事務 → 経理事務 → 経理    という形でスキルアップさせる。 ・雇用の安定性と柔軟性(Flexicurity)をテーマとした討論での武石さんの発言から  - 安定性と柔軟性の組み合わせの数が現状では、次の二つしかない。    (1)正社員の働き方で象徴される、安定性は抜群であるが、柔軟性がほとんどない(転勤も残業も不可欠)働き方    (2)パート、派遣の働き方で象徴される、非常に不安定であるが柔軟性が大きい働き方  - ある程度柔軟に働けるが、ちょっと不安定、という働き方があれば、ある程度のリスクを取りながら働ける。こういった組み合わせが4-6個あるといい。 ※この発言のあと(16:40ごろ?)会場を後にしたので、その後の発言についてはレポートに含まれていません。 <感想> 女性労働に関して25年間変わらなかった、という武石氏の発言は、象徴的なことを一言でいいたかったため、極端な言い方をしたのだと思います。確かに、細かいところは変わったものの、ひとことで言おうとすると、「変わらなかった」と言わざるを得ないのかもしれません。 自分の就業経験に関係する変化としては、女性だけに課せられていた残業時間の規制がなくなったこと、育児休業が取れるようになったこと、女性の管理職が増えたこと、事業所に保育所が併設されたこと、ダイバーシティマネジメント推進プロジェクトにかかわるようになったことなどです。普段の生活でも、医師、警察官、タクシーの運転手、バスの運転手、電車の運転手、市長、知事、議員など目に付く職業で女性が増えた一方、男性の保育士、看護士が増えたことで男女の格差が少なくなってきたように見えます。 しかし、実際には一般職と総合職といった雇用区分は残っているし、結婚や出産した女性従業員に対しては、「家庭の状況に配慮する」という名のものとにチャレンジングな仕事が割り当てられません。一方で家事育児といった家庭内労働の夫婦間での分担が一向にすすまない状況があります。 今後、こういった状況を改善していくには、武石氏が課題のところで述べた、「社会政策において女性の就業促進を明確にするべき」という点が重要と感じました。具体的には、健康保険、年金において、仕事を継続した人が優位になるような制度。また、配偶者特別控除の廃止など。 もう一つは、佐藤氏と武石氏がそれぞれ提案しているように、安定性と柔軟性の組み合わせにバラエティをもたせるのが有効と感じました。たとえば無期契約だけど業務限定、事業所限定とか、派遣社員だけどスキルアップの手段があるとか。きょうのシンポジウムに出る前は、『迷走』でも質問してしまったように、正規雇用と非正規雇用では格差が大きくて問題だ、までで思考が止まっていたのですが、その先の可能性について聞くことができたので非常に有益でした。 これからFlexicurityが来る予感!!な、有意義なシンポジウムでした。   ]]>

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