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育休後コンサルタントのブログ

聴講報告:「日本企業における女性活躍の意義と必要性」シカゴ大学社会学教授 山口一男先生

2012年9月6日 11:09:04

企業研究会「第8期ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランスフォーラム 第13期グローバル人事戦略研究フォーラム」にて、山口一男先生の講演を聴講しましたので報告します。

日時:2012年8月29日(水)13:30〜15:00
場所:明治記念館
講師:シカゴ大学社会学教授
   経済産業研究所客員フェロー 
   山口 一男 先生
主催:一般社団法人 企業研究会
タイトル:「日本企業における女性活躍の意義と必要性」

講演内容

山口先生が経済産業研究所(RIETI)のディスカッション・ペーパーとして発表された下記の論文がベースになっていました。

労働生産性と男女共同参画―なぜ日本企業はダメなのか、女性人材活用を有効にするために企業は何をすべきか、国は何をすべきか
発行日/NO. 2011年10月 11-J-069

非常に情報量の多い論文であり、ここでサマリーを書くだけでも非常に労力を要するので、ぜひ皆さんご自身で上記の論文を読んでいただきたいと思います。
(リンク先のページに概要も載っています。)

印象に残ったお話

・企業が女性に家事労働を押し付けている。
・女性の、男性と比べた相対労働生産性は相対賃金とほぼ同等に低い。これを「女性の賃金は低いが生産性も低いが公平だ」とみなすのは誤りだ。「日本の企業の女性活用のレベルが低く経済的に不合理だ」ととらえなければいけない。生産性に賃金をマッチさせるのは経済合理的だが、女性の賃金を低く抑える結果、生産性も低める「逆マッチング」になっているからだ。
・ライフイベントが生涯のチャンスの喪失につながる固い労働市場
・企業の人事担当者から見た女性活用の障害は以下の3点。それに反論する。
(1)女性は家庭責任がある
ー>企業が伝統的男女の分業を前提としていることが問題
(2)女性は勤続年数が少ない
ー>女性が育児離職せざるを得ない職場環境と、低賃金でキャリアの進展がないことが問題
(3)時間外労働・深夜労働をさせにくい
ー>正規雇用の一律の長時間労働の慣行や柔軟さに欠ける働き方が問題。
・日本企業では法を上回る育児・介護制度の職場の生産性への影響の評価はマイナスがプラスを上回る。イギリスではマイナスははるかに低く、ドイツ、スウェーデン、オランダではマイナスはない。
・日本企業のWLBへの取組みは、何もしない見送りの三振が約半数ー>日本企業の大多数は女性の人材活用ができないのではなくやらないのである
・法を上回る制度の導入は生産性の向上に寄与しないが、推進組織の設置などの取組みは未導入の企業との比較で導入企業タイムラグを伴って上昇の傾向
・日本企業は大卒女性の人材活用にほぼ完全に失敗している
・有能な女性の人材活用推進が、企業のパフォーマンスと正の因果関係あり
・消費者が女性だから女性の活用、という動機では女性の活躍領域がマーケティングやPRに限られてしまう
・WLB推進とダイバーシティ推進は機能的に連結していない:WLBが福利厚生になってしまっている
・女性の結婚育児離職率を下げる努力をせよ:女性のキャリア向上のインセンティブを奪う制度を廃止し、人材活用を目的としたWLB施策を充実させること
・ダイバーシティ推進本部を役員直属でつくること&人事担当管理職の評価基準に合理的なダイバーシティ推進をしているかを含めること
・一日あたりでなく時間当たりの生産性を基準とすべき
・男女雇用機会均等法(1986)および男女共同参画法(1999)がそれだけでは大多数の日本企業の女性人材の活用に結びつかなかった事実を重く見るべき
・アマルティア・センの思想:多様な人々の達成能力(capability)の開発を進めるために経済発展が必要なのであって、経済発展のために人材活用があるのではない

Q&Aで重く響いたことば

・日本で育ってきた日本人女性をすら「家庭との両立」という問題があるとして有効に使えない企業に、グローバル人材が使えますか?
・韓国からハーバード大学に学部生で来るのは40人、日本人は1人。そして日本の企業はハーバードに日本人学生を採用しに来ない。なぜ海外の大学で学んだ日本人を採用しない?日本人学生は海外に出たらチャンスを失うことを覚悟し、出て行っている。
・日本企業の海外事務所ではダイバーシティが進んでいる。そこから日本企業は学んでいない。米国はグローバル基準作りをすべての国に適用しているが、日本は作っていない。
・日本の女子学生は学部が偏りすぎ。就職に有効な工学部のような学部に進んでいない。
・各国のトップの大学では女子学生が40−50%いるが、日本の東大は19%。韓国の延世大学のMBAコースは女子の割合が2%から50%に伸びた。日本は25%〜30%
・日本には職務定義書(ジョブディスクリプション)がないため個人の仕事が達成されたかがわかりにくく、そのため個人ごとの生産性が計りにくい。
・グローバル人材を活用するには年功序列ではNG、雇用を保証するから時間を拘束するといっても外国人にとってはナンセンス。賃金体系を変える必要がある。

感想

直感的に思っていたことが具体的な調査結果で裏付けられつつあるという印象でした。
見逃しの三振に例えられた、そもそも取り組んでいない企業が多い、という事実が重くのしかかってきます。
ともすれば、バットを振ろうとしている打者に対してだけアドバイスしたりお手伝いしたりしがちですが、振る気のない打者にいかにボールに向かわせるか、そこにも着手する必要性を強く感じました。

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